魅力あるコンパクト都市建設グループ視察報告書

日 時
平成25年11月19日(火)〜20日(水)
場 所
高松市 丸亀町商店街
徳島県名西郡神山町 サテライトオフィス
視察メンバー
※鈴木和彦 ※栗田裕之 ※石上顕太郎  三浦雅司
山根田鶴子 ※大村一雄  ※望月俊明  ※工藤公彦
(※魅力あるコンパクト都市建設グループメンバー)

目 的

1.高松商店街の活性化策について行政施策、商店街担当者と意見交換と現場視察を行う。
2.徳島県内の過疎の山村にITベンチャー企業がサテライトオフィスを開設している。
  企業がひきつけられる街を視察し、その理由を探る。

内 容

◆高松中央商店街の活性化について

19日(火)
「中央商店街の活性化について」高松市役所3階32会議室
「南部三町商店街の取組みについて」ブリーザーズスクェア
「丸亀町商店街の取組みについて」丸亀町商店街事務所

中央商店街は、約 400年前に築城された高松城の城下町の中心として栄えてきた、歴史と伝統のある商店街。兵庫町、片原町西部、片原町東部、ライオン通、丸亀町、南新町、常磐町、田町の個性あふれる8つの商店街があり、約800の小売店、飲食店が軒を連ねている。

8つの商店街は、日本一とも言われる総延長2.7Kmの連続したアーケード街を形成し、オフィスビルが立ち並ぶ中央通りとともに、商都高松の顔としてにぎわっている。

アーケードの下には、しゃれたカラー舗装に、けやき並木やオブジェポケットパークなどがあり、明るく、やすらぎのある市民の憩いの場となっており、年間を通して、いろいろなイベントも開かれている。

各商店街の整備計画は進み順調に地元客はもとより観光客の来場者を増やしている。

特に目立つのは南部 3 町(常盤町、田町、南新町)の各空き店舗のうち、上層部分を活用して、アパート等の共同住宅を設置することで、高松中央商店街南部区域に賑わいをもたらすことを目的としている。

この制度は鞄部 3 町商店街プロジェクトが、一定期間家主から店舗を借り受け、会社が整備を行い、学生中心に貸付、家賃がリフォーム代の金額に達した時に家主に渡す。人が増えるのと同時に、一定に収入も得られる。昨年度から商業予算の支援増加に伴い現在、待機している状態である。

<高松市における中央商店街の活性化について>

1.実施日時
平成25年11月19日(火)
2.調査先
高松市創造都市推進局産業経済部産業振興課
3.調査の内容

産業、ものづくり、観光、文化・スポーツ、国際交流などに関する施策を一体的に推進。高松の都市ブランドイメージの向上を積極的かつ効果的に図りながら「瀬戸の都・高松」の魅力を全世界に発信していくため、総合的かつ基本的な指針となる「高松市創造都市推進ビジョン」を平成25年10月末に策定。都市的利便性を追求し、人々が幸せを感じられる人間中心の都市づくりを目指している(創造都市とは、ユネスコ認定世界34都市)。 43の事業でビジョンを具現化。今後行政のみならず、民間の活力とも協力して実施していく。

全国の多くの都市同様に、高松も都市のスプロール化現象が顕著。中心市街地から半径10q周辺に17の大型店が点在。人口当たり1,000u以上の小売店舗売場面積が全国第1位となり、街なかは急激に空き店舗が増加していた。同時に通行量も減少が見られた。

これに対し、市は都市計画マスタープランを作成。「多核連携コンパクト・エコシティ」と名づけた将来都市像により、次の3つの柱の連携で再都市化を図る。

  • @都市計画制度一・拡散型から多核集約型の都市構造への転換
  • A総合都市交通・・・自動車依存から公共交通への転換
  • Bまちづくり施策一・まちなか居住推進等中心市街地活性化と賑わいの創出

これに沿うかたちで8つの商店街で構成される中央商店街のうち、 470mある丸亀町(商振)が街区をA〜Gの7区画に分け、段階的に再開発を実施。現在、 A〜C, G区画の再開発が完了し、残る3区画も順次実施していく。結果、空き店舗が減少。通行量も現在では一日の通行量が平日が約13万人、休日が約14万人となっており、四国トップクラスの通行量となっている。さらに本年2月に丸亀町(商振)は自転車の通行を禁止し、徒歩通行客の安全性と利便性を向上。隣接商店街に自転車客が流れ、結果的に隣接商店街でも空き店舗が解消した。

主に丸亀町(商振)周辺の北部地区には全国チェーンの店や高級品を扱い都会的な店鋪が多く、南新町、常磐街などに南進する程に庶民的な店が増え下町色が濃くなる傾向にある。これら両エリアの回遊性を理想としてぃる。

市が行う支援策は以下の4つ。
  • @賑わいづくり推進員の雇用
  • Aブリーザーズスクエア管理運営事業(市委託事業 H21.7.1〜)
  • B南部3町商店街支援事業(緊急雇用創出事業 H25.4.1〜)
  • C街なか居住事業(南部3町商店街独自事業 H26.4〜予定)

@で雇用する推進員は、Aのブリーザーズスクエア管理も兼任。南部3町商店街の活動推進役として地域活性化に尽力している。

市が商店街に対し用意する補助金は以下のとおり。
@高松市中小企業振興助成条例に基づく補助金

商店街振興組合等がアーケード、街路灯などの共同施設を新設、補修等をした場合事業費の1/4以内の額を補助

A高松市中心市街地商店街活性化支援事業補助金

中心市街地商店街の商店街団体等が空き店舗対策事業、電力需給対策事業、安全安心対策事業等を実施した場合、事業費の2/3 (県1/3、市1/3)の額を補助

B高松市中央商店空き店舗活用事業支援補助金

中央商店街の各振興組合が空き店舗を活用したにぎわい創出事業を実施した場合空き店舗の賃借料や改装費などの一部(1/3〜1/2)の額を補助

以上の内容につき静岡市の実状と合わせ、意見交換を行った。

<南部3町商店街の取り組みについて>

1.実施日時
平成25年11月19日(火)
2.調査先
高松市創造都市推進局産業経済部産業振興課
3.調査の内容

中央商店街のうち、南に位置する南新町、田町、常磐町の3商店街が交差する角に市により「ブリーザーズスクエア」を設置。ブリーザーズスクエアは「音・楽・街」をコンセプトに創造された、コミュニケーションスペース。さまざまなカルチャーの情報発信基地として、来街者に街を薬しんでもらう場所として活用、れている。

運営委員会により管理されるが、中心になるのが市のにぎわいづくり推進員でもある中下氏。現在62歳だが、前職が音楽制作企業で若年層相手の仕事内容であったため、むしろ商店街理事の年代との関係づくりのほうが苦労をしたとのこと。

東京から地元坂出市に戻り、高松市で企業誘致を担う非常勤職員としてスタート。その後、地域活性化に仕事が移り、街甲に若い人が集まる場がないことに着目。南部3町は私鉄駅に隣接し、通勤・通学で人通りは多かったことから何かをやろう!と考えた。

まず600店ある商店のうち、 40歳以下の若手人材の掘り起としを行う。12,3人いた後継者たちとスクラムを組み、半年は宴会を続けお互いを良く知る活動を行う。商店主の力が強く、後継者たちは組合との接点がなかった。中下氏が親世代とのつなぎ役となり、行動できる若手世代の育成を実施。独自でイベントを開催し、親世代に認めさせるのに2年を要した。

今では近隣商店を含めメンバーは40人となり、自らが地域を盛り上げる、自分たちで稼いで強い連帯感を持つ状態となり、商業活性化の気運が高まってきている。

南部3町周辺には私鉄駅のほか、大学、病院等があり単身住宅のニーズがある。よい街の条件には、よい店があることと人が住むこと。そこで「街なか居住業」を計画してぃる。事業内容は、 1階店舗の建物の上層を借り上げ、リフォーム。単身世代に賃貸し、その家賃をリフォーム費に充てるというもの。学生や病院看護師を対象に街に居住できる環境を整備し、生活圏を形成させる狙いがある。象賃のみではリフォーム費の充当には不十分であるため、現在国士交通省の助成金を申請中。平成27年度からの実施を予定している。

<丸亀商店街におけるスタンス>

1.実施日時
平成25年11月19日(火) 15:00〜16:00
2.調査先
高松町丸亀町商店街振興組合
3.調査の内容

高松市人口約42万人では、商圏としては小さい。大手テナントも人口50万人以下の街である と、品揃えや家賃で拠出限度まで条件として制限が生じる。もともと古くは、高松城下町として栄えた立地。駅はその外側に作られたため、JR高松駅から3qも離れた場所に位置する。

昭和50年代は全国的に駅ビル建設が盛んで、駅周辺に立地した商店街が次々となくなっていった。以降、大型店の進出で店が死に、街が死んでいく事例が多く見られた。

こうした環境の下、丸亀町商店街では「お客様に必要とされる街になること」をまちづくりの目標に掲げ、さらに100年先を目指し再開発に取り組んできた。

再開発は平成元年よりスタート。再開発を行うことで、県外よりパワ一のある店も進出してくることが想定されたが、これは商店街もチャンスと捉えた。このまま何もしなければ、大型店しか残らないのはわかりきっていた。

ものづくりができない店は消えていく。かつて、街中は製造工場がありそこが直売の場所となっていた。今でも自社商品があるか、で店の力が違ってくる。

商圏55万人の商業規模で考えると、大都市の街を目指さない方針を採る。瀬戸大橋ができてから、神戸、大阪と顧客獲得の競争が続いたが、ここでしか買えないもの、快適な生活環境を提供していくこととした。その視点で、住むのであれば街に何が足りないかを考えた。街なかにない映画館と温浴施設を要望。都市計画上、行政の了解も必要だが「採算がとれない」と却下される。総合特区になり市の了解が重要となる。現在は、市道に広場と中空に市場を設けたいと検討をしている。

再開発には細心の注意を持って当たる。“一坪がただのゴミになることも”特に裏通りの地権者を口説く時には、この街が残るために街に関わる者同士が一体になる必要を説く。大型店の出店は地元からの仕入れを行わないため、じわじわと地元企業が廃業に追いやられる。結果、家計の収入が下がる。単にモノを買うだけのエリアから、時間消費を楽しむ街に作り変えることにシフトすることとした。

商店街はA〜Gの区画に分け、現在A〜C, Gの4区画が再開発終了。今後D, E, Fの3区画に取り組む。現在勉強会を進めているが、シネコン、地産地消型生鮮市場、ホームセンター、高齢者アパート、ディケアセンター、カーシェアセンター、託児所などを考えている。

◆高松中央商店街の活性化について

20日(水)
10:30〜11:30 「サテライトオフィスツァー」

徳島市内から車で50分離れた過疎の山村に、数年でITベンチャーなど9つの企業が相次いでサテライトオフィスを開設している。この神山町は、平成元年に 10,000人以上いた人口が毎年自然減(出生者数一死亡者数)で約 100名、社会減転入者数一転出者数)で約 100名、合計約 200名ずつ減り続け 6,300 人前後にまで落ち込んでいた。ところが平成 19年に、 NPO法人グリーンバレーが神山町移住交流支援センターを受託して以降、毎年転入人口が増え続け2011年には社会増に。過疎地域にて「社会増」となる例は、他ではほとんど見当たらない。神山町の場合、外部よりここに集まってきている人たちが自ら仕事をつくることができる、生きる力に溢れた人達が次々に集まっていることが特徴。

ITC インフラはオフィス開設のため必須条件だが、快適な IT 環境が構築される当地において、生活費の安さ、十分な空きスペースと費用など場所を問わない働き方が可能な企業にとって大きな魅力となっている。

過去、総務省が推進する「医療、介護・福祉、防災、防犯」など公共分野において、各地域の創意工夫に基づき ICT 人材を育成・活用しながら、地域雇用を創出・拡大するとともに地域の公共サービスの充実を図る施策として「ICTふるさと元気事業」に取り組む。

平成25年度過疎地域自立活性化優良事例表彰サテライトオフィスプロジェクトの取組が優良事例として、総務大臣賞を受賞。

<サテライトオフィスプロジェクトついて>

1.実施日時
平成25年11月20日(水)11 :00〜12:00
2.調査先
特定非営利活動法人グリーンバレー
3.調査の内容
〇サテライトオフィスプロジェクトついて

県と神山町が協力し自然豊な地域に県外から企業を迎え入れ、人の流れを呼び込み地域活性化を目指すプロジェクト。過疎や少子化が進む徳島県内で集落再生モデルとして全国に先駆けて実施。現在、東京や大阪に本社を持つ企業10社が神山町でサテライトオフィスを開設している。オフィスとして使用するのは、町内の古民家。テレビの地上デジタル放送対応のため県内に張り巡らされた光ケーブルをバックボーンに、1T産業がインターネット環境を利用し山間地域でも本社と同等の機能にて営業が可能となった。

過疎と少子高齢化を課題とする中山間地域と、従業員の働き方や暮らし方を見つめなおし始めた都会の企業とで両者の意向がマッチ。さらに中山間地への移住を支援することで、地域を元気にする新たな取り組みとして注目されている。

オフィスとなる古民家は町の所有。県、町、 NPOで改修をし月額50,000円(最大)で企業に賃貸。さらに県は半額家賃補助を行ってぃる。

現在、10の進出企業により移住する従業員も増え、神山町の人口は増加傾向にある。

〇サテライトオフィスコンプレックス

閉鎖された縫製工場をIT企業の集施設として改装。神山バレー・サテライトオフィス.コンプレツクスとして、サテライトオフィスを開設する企業や映像、デザイン関連の企業、個人事業者の利用も可能。異業種企業や個人の交流を促進させ、1Tを活用した農業関連ビジネスの創出などに期待されている。

〇株式会社えんがわ((株)プラットイーズサテライトオフィス)見学

映像データの編集加工業務。東京都渋谷区にある本社から独立し、神山町で創業。スタッフは20人で新規雇用。地元神山町に居住、あるいは通勤可能な者。年代は20代、30代が中心。

木造2階建ての古民家及び設備投資等で1億円を投資。母屋を主作業場とし、別棟にある蔵をサーバルームやクローズドの会議室、作業室として備える。この日は、ランチを社員が当番で作り、全員で食事をするなどストレスフリーな労働環境を実現している。

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